十和田湖





 湖が続いてしまうけれど、青森県は十和田湖。鹿角というところに出張した時、半日だけ自由時間があったので、秋田県側の十和田駅からバスに乗り、1時間ほど揺られて行った。11月初めの頃で、観光には季節外れだったのか、バスの乗客も湖畔の観光客も驚くほど少ない。着いた時にはもう午後四時をまわっていて、レストランや土産物屋はあらかた閉まっており、かなりうら寂しい雰囲気が漂っていた。湖の周りには平地があまり無く、山がすぐ湖に落ち込んでいる。夕暮れの山々の紅葉と青い湖面とのコントラストが独特だった。
 また同じ道をバスに揺られて駅まで帰り、例によって夜行寝台に乗った。前の寝台に乗っていたお婆ちゃん、津軽の人らしかった。しきりに話しかけてくれるのだが、言っていることがほとんど理解出来ない。何回となく聞き直して、かろうじてわかったのは、お婆ちゃんの家が吉幾三の実家の隣りであるということだった。


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