ブロードバンドについて

  暑くもなく寒くもない季節はすぐに過ぎて、そろそろ汗ばむ時候になってきました。今月は「ブロードバンド」についてのお話です。

 「ブロードバンド」を直訳すると「幅の広い帯」ということになりますが、その名の通り、インターネットの情報(信号)の伝わる道が広い事を言います。もちろん道と言っても電気信号ですから、広さの代わりに通信速度「1秒間に伝えられる情報(ビット)の量の多さ」で表すことになります。この速度の単位は「bps(ビットパーセコンド)」で「ビーピーエス」または「ボー」と略して言うこともあります。

 さて、インターネットが知られ出したころは、ほとんどの方がアナログの電話回線でつないでいましたが、このころの通信速度は28.8K〜56K bpsのものが主流でした。1つの文字は16ビットでできていますので、28.8K bpsの場合、単純計算で1秒間に1800文字を送れることになり、文字が主体のやりとりなら十分な速さでした。ところが大きなフルカラー画像や動画などを扱い出すとこの速度ではぜんぜんダメで、インターネットの高度化とともに、もっともっと速いものが要求されてきました。

 現在、「ブロードバンド」として、通信方法の主流になりつつあるのは、みなさんよくご存知の「ADSL」でしょう。昨年夏に、「Yahoo」が思い切った低価格で参入して大きな注目を集めて以来、加入者の数が飛躍的に増えたと言います。なにしろそれまで主流だった「ISDN」に比べ、速度は数倍、料金は約半分(当時)だったのですから。ケーブルテレビ回線を利用する「CATV」もブロードバンドと言えますが、今のところ加入者数でみるとADSLが約250万人、CATVのほうが145万人と、ADSLのほうが少し上回っています。(総務省公表データによる)

 なんにしてもADSLは、それまでとは比べものにならない「8M bps」という速度を出してくれます。これにより、従来ならほとんど不可能だった、「コンサートのライブをインターネットで観る」とか「映画の予告編を見る」などの動画関係がかなりスムーズになりました。

 通信速度とは別に、もう一つ忘れてならないのは、「常時接続が可能」ということでしょう。通信料金が定額制(どれだけ使っても料金は同じ)なので、パソコンの電気代さえ気にしなければ、電源さえ入れておけば、インターネットにつながりっぱなしの状態になります。何か調べたいときに、接続を意識せずすぐつながるというのはなかなか便利なものですし、Eメールについても、従来のように、メールを書くとき受信や送信のたびごとに接続するというような面倒は一切なくなり、いつでも送受信ができる環境になるので、ずいぶん自由になったような気がします。

 「ADSL」の弱点は、「NTTの局から離れると通信速度が落ちる」ということです。ADSLと言っても、電話回線を使って信号が流れるのは従来と同じで、局から遠くなるに従って、ノイズが多くなるため速度が落ちてきます。局から4km以内がひとつの目安と言われていましたが、自分の地区で利用可能かどうかは、申し込む際にNTTのほうで確認してくれます。それから、現在ISDN回線を引いている方がADSLに変える場合には、もう一度アナログ回線に戻す(番号が変わる)か、ADSL専用線(タイプ2)を追加する必要があります。この場合は少し料金が高くなります。

 ADSLやCATV以外に、最近一部の都市では「FTTH」と呼ばれるものが出てきています。これは、専用の光ファイバー回線を家の中まで引き込むもので、ADSLのさらに10倍程度の速度(最高100M bps)を持っているようです。この速度なら、テレビ放送と同等の動画映像をほとんどフルスクリーンで見ることができますので、世界中のほとんど無限のチャンネルが手に入るようなものですね。こんなのが普及すると、インターネットの中身もずいぶん変わってくることでしょう。

 NTTの今後の方針として、この光ファイバー回線を全国に広げる予定とのことですが、今のところ高槻では局に近い一部の地域(6月から)のみとなっています。普及はもう少し先になりそうですね。

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