クラウド・コンピューティング

 最近よく耳にする言葉に「クラウド・コンピューティング」というのがあります。「クラウド」とは雲のこと、多数のパソコンがぼんやりとした雲みたいなものでつながっている図解があったりします。これは一体どういう意味なのでしょうか?我々が通常使っているパソコンと何か関係があるのでしょうか?

 本日はこの「クラウド・コンピューティング」について書いてみたいと思います。

 インターネットがまだ一般的ではない頃、コンピュータは単独で使うのが普通でした。こんな使い方を「スタンドアロン」と呼んでいましたが、その呼称の通り、1台のパソコンにデータを入れ、そのパソコン内部にあるソフトウェアで計算し、そのパソコンからプリンタなどを通してアウトプットさせる、という使い方でした。

 一部のコンピュータには端末通信設備を備えたものがあって、電話回線を通じて計算センターの大型コンピュータにアクセスするというような使い方もありましたが、非常に稀な使い方だったと思います。

 インターネットが普及してからも、通信回線を経由して行き来するのはいわゆる「データ」がほとんどで、その処理をするためのソフトウェアはそれぞれのパソコンにインストールされるのが一般的でした。例を挙げると、WORDやEXCELなどで作成したデータをメールで送ったり、画像処理した写真や絵をホームページにアップしたりすることがこれに当りますね。もちろん、WORDなどのソフトウェアをネットからダウンロードして購入するようなシーンはありますが、これも最終的にはソフトウェアはパソコンにインストールされます。

 さてこれに対して「クラウド・コンピューティング」と呼ばれるものは、上記のような「データ」ばかりでなく、その処理をするためのソフトウェアもネット上のサーバーの中にあります。極端な場合はパソコンを動かす基本ソフトであるOS(オペレーティングシステム、Windowsなどもこれに含まれる)でさえも、パソコン内には置かずに通信しながら利用するサーバー上に置くことができます。つまり、それぞれのパソコンには通信機能とインターネットエクスプローラなどのようなブラウザ機能だけがあって、色んなソフトウェアは全て通信回線を介して使うことになります。携帯電話などではすでにこういった使い方が一般的です。

 このような使われ方が実際にどんなメリットがあるのでしょうか?

 企業やビジネスマンであれば、膨大な書類のデータを自分の会社のサーバーに保管することなく、インターネットを介した「どこかの」仮想空間に保管しておけるので、サーバーの管理費用や管理者は不要という経済的メリットがあるのでしょう。また、欲しいデータをUSBなどに入れていちいち持ち歩かなくても、インターネットにつながる機器さえあれば、世界中どこにいてもデータを取り出せるという良さもあります。

 個人的な使用の場合には、これがどんな風に便利なのかよくわかりません。例えばOfficeなどのソフトウェアを買わなくてよくなるのなら、それはそれで安上がりになるのかも知れませんが、やっぱり自分の作ったデータやソフトウェアが自分のパソコンに入っていない環境というのは何か不安な気がします。インターネットが突然つながらなくなったら全くのお手上げ状態、いったいどうするのだろう?とも思います。

 しばらく前にここで取り上げた「iPad」の日本での売れ行きはアメリカほどではないという記事を読みました。今後どうなって行くのかまったく予測がつきませんが、こんな機器を使ってネット上の本をどんどん読むというような使い方はまさしく「クラウド・コンピューティング」と言えるのでしょう。

「雲をつかむような話」になってしまいました・・。

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