サイバー・テロ

ようやく春の気配が感じられる季節になりました。この時期、今年もまた入学や就職、それから新しい場所での生活等に向けて、ワクワクドキドキの毎日を送っている方もたくさんおられることでしょうね。

 さて今月は、あまり穏やかではない「サイバー・テロ」と呼ばれるものについてのお話です。

 今回のバンクーバー・オリンピックは、真央ちゃん美姫ちゃん、それから日本国内全てのフィギュアスケートファンにとっては少し残念な結果となりました。そのオリンピックが終わって間もない3月1日、あの有名な超巨大掲示板サイトの「2ちゃんねる」が徐々に動きにくくなり、ついに書き込みはもちろん、見るだけでも全くアクセスが出来なくなるという大トラブルが発生しました。

 原因は「外部からの集中的なアクセスによるサーバーのダウン」ということでしたが、実はしばらく前から韓国のネット内では、日時を指定して、この「2ちゃんねる」に対する同時アクセスによる攻撃勧誘の書き込みが目立って増えていたという事実がわかってきて、どうやら韓国のネットユーザーからのサイバー・テロである、というのが定説になりつつあります。

 確かに、「2ちゃんねる」に限らず、ネット上の色々な掲示板やブログには、イデオロギー色の強いものも多く、日本語のわかる韓国の方々には我慢のならない書き込みなどもたくさん存在します。(もちろん逆のものもたくさんありますが)こういったサイトの代表として「2ちゃんねる」が選ばれ、一部の心無い人たちの扇動によって、3月1日には約10万人を超える規模の人が一斉に「2チャンネル」にアクセスを開始、サーバーの処理能力を超えてしまい、他の人がアクセスできなくなるというような不具合だけでなく、数か所あるサーバー(データ保管場所)が壊れ、中のデータも無くなってしまうという深刻な損害が発生してしまいました。このサーバーを利用していたのは「2チャンネル」だけではなかったので、他の企業のデータも消えてしまったところがあったようです。一説によりますと被害総額は2億円を超えるとも言われています。

 爆弾やハイジャックのようなテロとは違い、サイバー・テロの怖いところは、インターネットにつながるパソコンを持っている人なら誰でも参加出来てしまうところにあります。例えば10万人を超える信者を持つカルト集団が、これを行おうとすればかなり簡単にどこかのサーバーをダウンさせてしまうことが出来るでしょう。カルト集団でなくても、ちょっとネットで人気のある方が掲示板にお誘いの書き込みをするだけで、同じことが発生してしまう可能性も充分あります。

 また、このように半自発的な攻撃ではなく、コンピュータウィルスに侵された大量のパソコンが、オーナーの全く知らないうちに、一斉に特定のサイトへのアクセスを始めてしまうというような例もあります。

 いずれにしてもこのようなテロの場合、攻撃者(パソコン)が余りにも数多くなるため発信者の特定は困難になり、要するに「非常に捕まりにくい」ことが特徴になります。過去にも色々な事件が発生しているものの、大元になった犯人が捕まった例はほとんど無いと言っても良いくらいです。

 但し、今回の「2チャンネル」事件の場合は、同じサーバーを使っていたあるアメリカの会社が被害を受けたため、FBIに捜査のための資料を提出した、という噂もあり、今後どうなるか注目したいところです。

 今月はちょっと暗い話になってしまいました。うまく使えばまだまだ素晴らしい可能性を秘め、非常に便利な情報リソースとなってくれるインターネットとパソコン、この便利さを長く続けられるように、変な規制をかけたりさせないためにも、世界中のユーザーがそれぞれ良識ある使い方をしてほしいものですね。

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