メディアの寿命
  
 寒い日々が続いています。以前は、冬になるとパソコンを置いてある部屋が寒くて、使用頻度が減っていたものですが、最近やっと自分のメインパソコンがノートパソコンになったので、「いちばん暖かい部屋」で使えるようになりました。

さて今月は「メディアの寿命」についてです。メディアと言ってもテレビなどの「マスメディア」ではなく、文書や映像の「記録媒体」のお話です。

 昔は紙しかなかった記録媒体、デジタルテレビやパソコンの発達と共に、「テープ」「CD」「フロッピー」「メモリーカード」「DVD」など、今は本当に色々の種類のメディアが存在しています。
 カセットテープが一般的に世に出たのが1965年とのこと、パソコンが普及し始めてからも、カセットテープはしばらくの間、データの外部記憶媒体として使われていました。読み込みエラーに悩まされながら、ゲームのプログラムを何分もかかってパソコンに読み込ませた記憶のある方もおられるのではないでしょうか?

 1980年頃フロッピーディスクが一般的になり、その後長い間3.5インチフロッピーの黄金時代が続きました。わずか1.4メガの容量しかありませんでしたが、パソコン用文書の保存と持ち運び用途なら、フロッピーディスクで十分でしたね。最近のパソコンではフロッピードライブが付いていない機種が多く、時代の流れを感じさせてくれます。また、同じ3.5インチフロッピーでも初期の頃に流通した1Dとか2Dは、もはや読める装置は存在しません。CD−RWやCD−ROMがパソコンソフトのメディアとして普及し始めてからまだ10年程度にしかならないのに、もうDVDに変わり始め、そのDVDも容量増加に連れて新しい規格のものが作られて互換性もはっきりしないような状況です。
 
 この例からも明らかなように、特にパソコン関係の外部記憶メディアは移り変わりが激しいために、メディアそのものの物理的寿命よりも社会的寿命、つまり「データを読むための装置」そのものが無くなってしまうという寿命のほうがが早く来てしまい勝ちです。ちゃんと規格が制定されて、「上位互換性(アッパーコンパチ)」(新しい装置でちゃんと古いメディアが読める)が保たれているうちは良いのですが、どんどん進歩して便利に?なる世の中、なかなかそうも行かないようで、10年経つと読むための装置がまったく無くなってしまうと思っておいたほうが良いかも知れません。現在よく使われている「SD」「MD」などのメモリー装置も時間が経てばどうなるかは、はっきり言ってわかりません。

 もちろん、物理的寿命の問題もあります。CDやDVDはレーザー光で書いている面の感光色素が劣化したり、アルミの蒸着面が剥がれたりすることによる寿命の限界は避けられないということです。この寿命は一律ではなくて、メーカーによる物のバラツキが非常に多いらしく、良いものでは何十年かは持つと言われていますが、素材に混じり物が多い粗悪品の場合は、僅か1年くらいで読めなくなってしまうものもあると聞きます。外国製の超安価メディアに寿命の短いものが多いというデータもありますが、確かではありません。これと比べれば、千何百年も前の情報が残っている「紙」というのはさすがに偉大なのですね。

 古いカラー写真の「色褪せ」が問題になっていた頃がありましたが、デジタル写真の時代、パソコンのデータがもし失われてしまえば、完全に跡形も無くなってしまうという恐怖があります。CDやDVDに移していても、上記のような理由で読めなくなってしまったら辛いですね。これを防ぐためには、必ず複数のメディアに保存しておくと同時に、常に新しい媒体に保存し直しておく必要があります。


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