パソコンと音楽配信
 
 涼しくなったと思ったら、何となく天候不順の毎日で、本当にさわやかな秋の日というのは数えるほどしかありませんね。そうこうしているうちにもう11月、今年も終わりに近づいてきました。

 パソコンと音楽については、今までにも何回かテーマに取り上げてきました。もともとは「アナログ」だった「音楽」が、CDの登場とともにどんどんデジタル化されて、今ではパソコンとは切っても切れないような仲になっています。

 特に、最近は「i−pod」に代表されるような、デジタル化された音楽データを、ハードディスクやメモリに入れて持ち歩ける器材が一般的となっており、これに録音するのもパソコンを通して行うのが普通になりました。

 また、こういったデジタルオーディオプレーヤー(携帯型音楽再生機器)は、その大容量が売り物になっていて、手のひらに入る小さなサイズの中に1000曲も入れることができるのが当たり前になっています。いったいどうしてこんなことができるのでしょうか?それは、「データの圧縮技術」によるところが大きいのです。インターネットなどを介して大きなデータを送る場合には、無駄な時間を使わないために「圧縮」と「解凍」(どうして「冷凍」と「解凍」あるいは「圧縮」と「展開」と言わないのか不思議ですが・・・)という所作が必須となります。つまり、もとのデータの形を損なわない範囲で、ある規則にのっとってデータの間引きや省略を行い、小さく(圧縮)して送信し、受け取った側で「解凍」して元のデータに戻すということをするのです。

 音楽の場合、例えばCDに入っているデータ(これでも昔のレコードに比べると、かなり間引かれているということですが)の形だと、アルバム1枚分の10〜13曲で約650MBのデータ量になります(1曲あたり50〜60Mバイト)。これではまだ大きすぎるということで、音質を劣化させずにデータ量を減らす方法がここ数年の間に次々に開発されてきました。例えば、現在最も一般的なデータ形式である、「MP3」という形式に圧縮すれば、1曲を約4Mバイトほどにすることができます。このMP3という形式のデータは、世界中で標準化が進んでいますので、販売されているほとんど全てのデジタルオーディオプレーヤーで再生することができるようになっています。

 さて、音楽がこんな風にデジタル化されてパソコンに入るようになると、その流通形態も変化してきます。ひところ、レンタルから違法ダビングする人が多くなったせいで、CDの売り上げ枚数が以前に比べて大幅にダウンしたということが問題になっていました。確かに、聞きたい1曲のために高価なアルバムCDを買わされるのはどうも納得がいかない部分もありますね。

 ところが、近頃ではCDを買わずとも欲しい曲だけをインターネットからダウンロードして買うことができるようになりました。「楽曲配信サービス」というのがそれで、エイベックスなどが有名でしたが、今ではほとんどの大手レコード会社がこのサービスを開始しています。(googleやyahooなどで「楽曲配信」で検索すれば、たくさんの配信サービスが見つかります。)1曲当たりの価格は、CDなどよりもかなり安くなっていますので、とりあえずダウンロードして聴いてみてから、気にいればCDを買うという方も多いようです。

 昔々、お小遣いをはたいてやっと買ったレコードを、すり切れるくらいまで聴いたり、好きなアーティストのLPレコードのジャケットを宝物のように思っていた筆者などにとっては、昨今の「このサイズに1000曲!」的なキャッチフレーズを聞くと、何か曲の価値というか、感性に訴える「重み」みたいなものが、どんどん小さくなって行ってるような気がして寂しくなるのですが、これもデジタル化のなせるわざなのでしょうか?


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