人間LAN
   
 やっと暖かくなったと思ったら、もう5月。窓外の山々もすっかり初夏の気配です。今年もまた暑い夏が来るのでしょうか。

 「LAN」という言葉は、皆さんどこかで聞いたことがあると思います。「無線LAN」とか「社内LAN」とか。「LAN」とは、Local Area Networkの略で、パソコンやサーバー間を通信ケーブルで結んで(もっとも最近は家庭用でもワイヤレスが多くなって、ケーブルは珍しくなりましたが)、コンピュータ間でファイルやプリンタを共有したり、データのやりとりをする仕組みのことです。

 最近、新聞を読んでいますと、「人間LAN」という言葉が目にとまりました。見出しだけで判断して、てっきり「コンピュータ抜きで、生の人間の目や耳だけを使ってコミニュケーションをはかる、つまりアンチ・コンピュータ集団」のことかと思いました。

 ところが記事を読んでみてびっくり。「人間LAN」とは、上記のコンピュータ間の通信(データのやりとり)を、無線やケーブルを使わずに、人間の身体を通じて行う仕組みとのことです。さらに、この技術は、某大手通信会社が開発していて、ほぼ実用化の目処がついたと言います。

 人間の身体を使うと言っても、結局、流す物は電気信号で、極々微弱な高周波電流(電界)を身体の表面を通じて流すことによって、身につけた携帯や腕時計、ノートパソコンなどと、他のコンピュータとの間で通信を行い、LANを形成することが出来るようです。通信速度も今の普通のLAN程度(10Mbps)程度が可能とか。もちろん流れる電気は非常に弱いものなので、人体にはまったく影響が無い、「ケーブル」「無線」に続く第3のコンピュータ通信手段として非常に有望であると書いていました。

 と言っても、この技術が将来実用化して、どんな風に我々の生活が変わるのか?というと、いまいちよくわかりません。携帯からの電波でクレジット情報をやりとりして、買い物の支払いをする程度のことは、すでにコンビニでもやっていることですし(あまり普及はしていないみたいですが)、人間の身体を使うということは、結局「有線」なので、無線の便利さにはかなわないとも思います。

 反対に、迷惑メールや架空請求に日々悩まされ、ネット犯罪が後を絶たない今日、ちょっと触れられただけで自分の情報が盗まれてしまうような事が起きるのではないか?という不安を感じてしまいます。仕事で握手を繰り返しているうちに、業務データをすっかり盗まれたり、デートで手を握った瞬間に、知られたくないことを相手にすっかり知られてしまったりとか??

 声が届く距離にいるのに、携帯でメールをやりとりしている二人を見たことがありますが、人間LANを使えば、指先か何かをくっつけてメールを送るのでしょうか。恋人同士ならば、ちょっと良いかも知れませんね?(近くにいるなら話せって・・・)

 どれだけ通信手段が発達しても、送るのは人間、受け取るのも人間、情報を処理できる量や速さには限界があります。人間の身体にもメモリーやCPUを増設して性能アップがはかれれば別ですが、いわゆる先端技術によって、生活をこれ以上あわただしいものにして欲しくはないとも思いますが・・・

 ただ、周辺に無条件に飛んでしまう無線電波などとは違って、「触れる」という比較的密接な関係でのみ情報を伝えられるという特徴をうまく生かせば、思っても見なかった面白い用途があるのかも知れません。皆さんもそんな新しい用途を考えて、某大手通信会社に売り込まれてはいかがでしょうか?



かんたんパソコン講座目次

トップ