ジャンボタニシと不知火





 熊本で「田植え」をしたことがある。(どうしてそんな遠くまで行って田植えなのかは追及しないで・・)
 熊本に限らず、暖かい地方の田んぼには「ジャンボタニシ」と呼ばれるタニシの仲間が生息している場合がある。この生物、もともと日本には居なかったが、アメリカザリガニと同様、食用にしようとして輸入したがマズいので全く売れず、放されたものが野生化したらしい。用水路の縁などに真っ赤な卵を産み付けるキモチワルイやつである。

 とにかく、その田植えをした田んぼに、そいつらがいっぱいいた。無農薬有機農業をやってる田んぼなら、ドジョウやタニシがたくさんいて、本来の日本のタニシは雑草の芽なども食べてくれるので、普通はいいヤツらなのである。

 が、この「ジャンボタニシ」はヤバい。稲の苗を食うのである。それも、かなり貪欲に。田んぼの隅の方で、今植えたばかりの苗がバタバタ倒れていくので、不思議に思ってようく見たら、苗の根元に子供のジャンボタニシがいっぱい取り付いて茎をムシャムシャ食べていた。ああ気持ち悪!

 こんな事しか書かなかったら熊本の人に悪い。帰りに通った八代海の悠然とした景色と、その夜偶然見た「不知火」(注)の神秘的なゆらめきの事も書いておこう。

(注:その時は不知火と信じたが、後から聞くと本当の不知火は1年に1回、それも旧暦の9月1日にしか見えないそうで、たぶんその時見たのは普通の漁り火だったのだろう。


  
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