津波・・・

 この原稿を書いている時点で、あの悲劇の日からもう一カ月が過ぎてしまいました。震災と津波の被害に遭われた数多くの方々に、心からお見舞いを申し上げますとともに、被災地が一日も早く復興されることをお祈り申し上げます。本当に僅かばかりの義援金をお送りすることしか出来ていません。こんな時には何も出来ない自分が悲しくなってしまいます。

 今回の震災と大津波、衝撃的だったのは何と言ってもあの生々しい映像がリアルタイムで日本中に流されたことでした。そしてその日のうちにその映像はYOUTUBE等のインターネットを介して世界中の人たちが見ることとなりました。昨年のスマトラ島沖地震の際にも被災地からの動画は数多く流れましたが、今回は、その時とは比べ物にならないくらいの数の映像が、ヘリコプターからの空撮映像や高台に避難された方が撮られたものなど、本当の現場の映像が非常に高い解像度で流れ、津波の威力と恐ろしさがほんの数時間のうちに世界中の人たちの知るところとなったわけです。

 いつものように、現地との携帯電話はすぐつながらなくなりました。あれだけ便利な道具も、何か大きな事件が起こった時の「アクセスの集中」「回線のパンク」という現象に対しては何の手だてもないのですね。超広範囲の大規模停電で一部の基地局などの機能がダウンしてしまったのも原因のようです。

 ただ、通話はなかなか出来るようにはならなかったものの、メールが通じるようになったのはかなり早かった模様です。これは、通話という動作が一つの回線を長時間占有してしまうのに対して、メールの場合は「パケット」というごく小さなデータ単位が瞬間的に送られるだけなので、隙間に入り込みやすいのが理由とのことです。

 浸水や停電でパソコンがほとんど使えない状況で、こういった携帯電話からツイッター等を利用する安否確認がかなり有効に働きました。私の友人にもこのような情報ルートでようやく知人が生きていることを確認できた、という人がいました。

 連絡手段は携帯電話のみという状況なのに、それを充電するための電気が無いというのはどんなにか心細かったことでしょう。エンジンで動く発電機が避難所に届けられたとき、真っ先にみんながしたことは携帯の充電だった、というニュースも流れていました。

 やりきれない思いがしたのは、YOUTUBEで早くにアップされた現地からの動画に対して、宗教的な意見やデマや誹謗中傷、その他ある事ない事、およそネットの中の醜い部分ばかりのような書き込みが集中し、とうとうその画像そのものも削除されてしまったことです。中国や韓国その他外国からの書き込みもあったりして、それに対する感情的で根拠のない反論や無責任な意見等々・・。心ない一部の人間のなせる事とは言え、このような現象を見ているとパソコンに触ることさえ憂鬱になってしまいました。当初盛んに報道された「災害に冷静に対処する日本人の民度の高さ」とは裏腹に、被災地で窃盗事件が頻発していることや、義援金名目での詐欺事件などの報道も後を絶ちません。

 上に書いたような極端なことでなくても、チェーンメールなどを通じて広がるデマやツイッター上での不安を煽る書き込みなどもまだ続いています。厄介なのはこういった情報が「善意」や「支援」と信じて流されることです。「できるだけ多くの人に転送してください」と書かれたメールは、もしそれが親しい人からのものであったとしても、デマと思ったほうが良いのではないでしょうか。

 とにかく原発が収まってくれないことには復興も始まりません。この原稿が記事になる頃には何らかの解決策が見えるようになっているでしょうか?

 直接的なことは何もできませんが、高い放射能の中、命がけで仕事をしてくれている方々に感謝しながら、一日も早い収拾と被災地の復興を祈りたいと思います。


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