初音?
 
 2008年新春、明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。読者の皆様はどんなお正月をお過ごしでしょうか?去年も書きましたが、明るい話題が多い年になってくれることを祈ります。さて、今月のお題は「初春」ならぬ「初音」です。

 「初音ミク」という新人歌手?がネットで大人気になっています。テレビなどでも何度か取り上げられていますので、ちょっと舌足らずのかわいい声で歌う彼女の声を、みなさんもどこかで耳にしたことがあるかも知れません。

 ご存知の方も多いと思いますが、「初音ミク」とは、もともとヤマハが開発した「ボーカロイド」(ボーカル・アンドロイドの意か?)を元に作られた「歌声合成ソフト」のイメージキャラクターの名前です。このソフトのパッケージにはその絵が載っており、ネットで検索すると、その設定キャラクターがすぐ出てきますが、「16歳」「身長158cm」「体重42kg」・・などと書かれています。長い髪のツインテール、大きな瞳にミニスカートのメイド風コスチュームと、いかにもパソコンオタクが好みそうなアニメ調のキャラなので、これだけを見ると一般向けではないような感じを受けます。テレビで紹介されたときにも、こんな点ばかりを面白おかしく取り上げてオタク文化を茶化すばかりで、肝心のソフトの内容紹介についてはお粗末なものでした。が、しかし、ホームページのサンプルや使用者の作品を聴いてみると、この歌声合成技術はなかなかのもの。初期の頃の音声読み上げソフトなどは、いかにもコンピュータ合成というような機械的な声でしたが、実在の声優の声をサンプリングして作ったというだけあって、ずいぶん肉声に近い声が出せています。使い方も割合簡単で、歌詞とメロディー(簡単なキーボード操作で可能)を入力してやるだけで、そのメロディーをかわいい声で歌ってくれます。

 従来からいわゆる一般ユーザ向けの音楽作成ソフトは多々ありました。それらは、さまざまな楽器の音をパソコンの中で自由自在に作り出し、それらを多数重ね合わせてオーケストラ並みの音を作り出すことは出来ても、歌詞を入力してその通り歌わせるというような機能は持っていませんでした。

 筆者はこのソフトをまだ入手していませんので、自分自身での使用記は書けないのですが、昨年夏の発売以来、この手のソフトとしては異例の売り上げ数らしく、また「DTMマガジン」という雑誌に体験版が付いたことから、かなり多くの人が使うようになったとの事で、ニコニコ動画やYouTubeなどにも多数の作品が投稿されています。ちなみに、この体験版がついたDTMマガジン11月号はあっという間に売り切れ、欲しいと思った時点では全然入手できなくなってしまいました。ちなみにこの号はネットオークションで市販の4〜5倍くらいの価格がついています。

 投稿されている曲も、今のところはまだ既存の曲が多いのですが、そろそろ自作曲の投稿も出始めています。曲を作っても自分が歌っている音を公開するのは恥ずかしく、かといって歌手に歌ってもらうわけにはいかない、でも発表はしたい・・というアマチュアミュージシャンがたくさんおられるのでしょうね。

 著作権に触れてはいけないので、それらが載っているサイトのURLを直接ここに書くことは避けますが、色々の曲があります。例によって「初音ミク」「動画」などで検索してみてください。「変わったところでは「君が代」をアカペラで歌わせてみたり、名曲「ドナドナ」がバロック風伴奏で聴けたりします。完全オリジナル伴奏つきの「六甲おろし」もなかなかです。

 「初音ミク」のソフトそのものには、伴奏作成の機能はついていませんので、伴奏つきで歌わせるためには自分で演奏したものを重ね録音するか、別の音楽作成ソフトが必要になります。本格的な歌曲を作るためにはそれなりの知識と技術が必要になるとは思いますが、伴奏無しで歌わせるだけであれば素人でも簡単に操作可能との事です。

 今はまだミクちゃんの声しか使えませんが、そのうち色々の声を出せるものが出てくるのではないでしょうか。ひょっとしたら将来は、自分の声をマイクで入力してサンプリングし、再合成するような機能も付くかも知れませんね。

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