仮想現実
  
  残暑が厳しい中にも、かすかに秋の気配を感じるこの頃です。
 映画「日本沈没」を見に行きました。30何年か前にオリジナル版(藤岡弘、いしだあゆみ)を見ているので、色々変わったところを考えながら見ました。原作のストーリーをまったく変えてしまった事の是非はさておき、やはり一番進歩したのは特撮場面のリアルさでしょう。旧作の頃は、コンピュータで画面を作るなんて考えられもしない時代だったので、地震で色んな構造物が倒れたり壊れたりする場面はたぶん模型(セット)で撮られていたはずです。そのため、東京タワーが倒れる場面も、永代橋が津波でひっくり返る場面も、清水寺の舞台が沈んで行く場面も、どことなくミニチュア模型見え見えのウルトラマン映画みたいでした。

 それが新作では、こういった被災場面は、ほとんど全てコンピュータグラフィック(CG)による映像となり、ドルビーシステムの迫力音響と相まって、ホンモノと見分けがつかないくらいの映像となっていました。

 「スターウォーズ」や「T2」など、ハリウッド製の大作から始まったと考えられる、映画のコンピュータグラフィクス化は、3D(立体)技術に適した専用コンピュータの発達と、ソフトウェアの進化と共にどんどん進み、CGの入っていない映画は無いのではないか?と思えるくらいで、あの「タイタニック」でさえ、船の映像はほとんどCGとのことでした。

 先日、あるテレビ番組で、このような映画の製作場面を写していましたが、大勢の人間がコンピュータの前に座って、登場するロボットや宇宙人やロケットの3Dデータ(モデル)を作っている様子は、映画の製作現場と言うよりもむしろ、機械などの設計開発現場を見るようでした。俳優たちの演技シーンも、周りの風景が全く完成品とは違う中で撮影され、後からコンピュータの中でCGと合成されるわけですから、何か変な感じです。

 「三丁目の夕日」もそうでしたが、最近では日本映画でもこうしたコンピュータグラフィクスによる映像をふんだんに取り入れたものが多くなって来ています。「路面電車が走る大通りの向こう側にそびえ立つ東京タワー」などという場面を、もしセットで撮ろうとしたら、まず不可能な事でしょうから。
 こういったCG製作の世界では、コンピュータの仮想空間の中(具体的にはメモリーとハードディスクの中)にひとつひとつの物体を作り込んでいく、というかなり手間のかかる作業が必要となります。アニメなら平面的な絵を描くだけ(それでも1コマ1コマを作り上げるのは大変でしょうが)ですが、立体的なモデルを、細かい部分まで仕上げて行くのは本当に時間がかかります。

 形が出来れば、「テクスチャ」と呼ばれる物体表面の素材などを定義し、光の当たり方をコンピュータに計算させて、やっとそれらしい物体に見えるようになります。こうやって作られた無数の物体をまたコンピュータの中で重ね合わせながら、映像を作っていくのですから、時間もかかろうというものです。

 さて、本当の映画を作るためには、すごい高性能のコンピュータと非常に高価なソフト、それに専門知識が必要ですが、入門用として、パソコンで3Dの動画映像作りを簡単に体験できるソフトがフリーで公開されています。(下記参照)
 http://www.doga.co.jp/ptdoga/

 このソフトを使えば、色んな形の物体が初めから準備されているので、組み合わせるだけで自分のオリジナルの物体を作ることができ、さらに割合簡単な操作で、それを3Dムービーにすることができます。操作説明もムービーでやってくれるので、初めての方でも意外に簡単にSF映画の1シーンような動画を作ることができます。興味ある方はダウンロードして試してみてください。

 

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