デジタル・ディバイド
  
 夏真っ盛りです。しばらく前は、ミサイルが飛んで来たり、色んな事故や事件があったり、本当にややこしい世の中になったものです。

 最近、以前の生徒さんだった方から、「パソコンを買い換えたいが、どんなのを買うのがいいか?」というご相談をよく受けるようになりました。パソコン教室を始めたのは1997年でしたが、その頃にパソコンを買われた方は、まだWindows98をそのまま使っておられる方も多く、さすがにパワー不足を感じておられるのだと思います。

 昔のように、パソコンメーカーによってそれほど特徴が際立っているわけでもなく、テレビが見られるようになっているとか、無線LAN機能がついているとかの他は、そんなに差はありませんので、値段とデザインや色でご自分のお好きなのを選んでくださいと答えることにしています。お金に糸目をつけなければ、大型横長液晶、デジタルテレビ機能、無線LAN機能のついたノートパソコンが欲しいところですが。

 パソコンの普及率(単身世帯を含む)が80%を超えたようです。ただ、都道府県別の普及率データを見ると、最も高い県と最下位のところでは、倍半分に近い開きがついています。パソコンなどのいわゆるIT機器を使いこなせる人達は、それを利用してどんどん便利に豊かになっていき、反対に使いこなせない(あるいは買えない)人達は、ますます必要な情報が得られなくなって、社会的格差が広がって行く、という考え方を「デジタル・ディバイド(Digital divide)」と言います。この格差は個人間だけではなくて、国家間や地域間でも新たな問題として取り上げられるようになりました。日本国内でも、パソコンだけの普及率を取ってみれば、確かにその地域格差は広がっている感じです。

 ただ、日本の場合、少し異なった事情があります。携帯電話の驚くべき普及がそれで、普及率は90%になろうとしており、新しい機種ではほとんどがインターネット(Web)閲覧機能を備えています。Yahooなどの検索機能を持ち、ブログなどの書き込みもでき、最近では、携帯専用のウェブサイトだけではなく、パソコンで見るのと全く同じような画面を見られるようになった機種もあります。このように、パソコンでなく携帯電話でインターネットを頻繁に使うというスタイルは、少なくとも10年前には全く考えられないことでした。

 パソコンが、どんなに安いものでも数万円はするのに比べれば、携帯電話の端末は比較にならないくらい安く手に入ります。画面が小さいとか、接続速度の面ではパソコンでのインターネットにはかないませんが、あれだけの小ささで、それこそ「日本中どこでも繋がるインターネット端末」をみんなが持ち歩けるというのは考えて見ればすごいことで、日本国内に限って言えば、携帯電話によってデジタル・ディバイドを無くすることも可能なのかも知れません。前述のデータを見ても、携帯電話の都道府県別普及率は、パソコンの普及率とは異なり、ほとんど地域格差はありません。

 たまに田舎に行って、完全にパソコンの無い生活を送ってみると、「不安感」と同時に、パソコンの無い「やすらぎ」みたいなものを感じることがあります。以前、タイの田舎に行った時、何処に行ってもインターネットは全く通じず、従ってメールも出来ず、日本との連絡はホテルのFAXか電話だけという状態を経験しました。日本国内でもキャンプなどで山の中に行き、携帯が「圏外」になってしまえば同じ事で、何となく世の中の流れから取り残されたような気さえします。今、そんな状態の中に身をおくと、かなり不便を感じてしまうのですが、ちょっと前まではこれが当り前だったわけです。

 若い人達にとっては、友人のアドレスが入っている携帯電話が命の次に大事という話ですが、何処にいても携帯が追いかけて来て、いつでも誰とでも連絡が取れる状態にしておかないと不安というのは、みんな、かなり重症の「デジタル機器中毒」にかかっているのかも知れませんね。
 

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