テキスト ボックス: Tech room Nishi

  テキスト ボックス: CADの部屋 

10.E-BOMM-BOM

  

E-BOM(設計部品表)とM-BOM(生産部品表)さらにはP-BOM(購買部品表)やS-BOM(サービス部品表)の関係性については本当にいろいろの考え方があって、何が正しいというのは無いように思う。それぞれの製品の背景や生産方法などにより、それらの形態や運用の仕方も大きく変わってくる。

従来からよく議論となっていたのは、3D-CADE-BOMの原型)の構成を生産に合わせるのかどうか?ということだった。

設計者としては、各パーツを「機能」による関係性でひとまとめにしてアセンブリを作りたい。例えば油圧システムであれば、オイルタンクからポンプ、バルブからアクチュエータ、それにつながるパイピングなどを一つのファイルとして同時に設計していきたいことが多い。このように機能でまとめた形でモデルを作っていくと、CADシステム内のアセンブリから部品表を自動生成した際には、CADデータ内の機能的ツリー構造で設計部品表(E-BOM)ができることになる。

これがそのまま生産部品表(M-BOM)として使えれば良いが、そんなことは稀で、多くの場合、3DデータとともにE-BOMを受け取った生産部門では、生産ラインや購買単位に合わせた部品表に作り変えるという作業が必要になる(簡単に言えば、パーツの「機能」ではなく、生産ラインのどこで組み立てるか、どのような「固まり」になっているか、が基準になる)。場合によっては生産で使用するために3Dデータの組み合わせ構成(ツリー)を変更することも必要になる。

生産技術部など、こういった作り変え作業のためにきちんと工数が確保できるところなら問題はないが、これも多くの場合なかなか難しいことで、設計変更があるたびにまたそのデータの作り変えも必要になるので、非効率とならざるを得ない。

この解消のために、生産から開発に対して「最初から生産に合わせた構成にしておいてくれ」という要求が生じる。生産部門が強いところならこの要求は通り、設計の方ではいろいろ苦労をしながら生産に合わせた3Dモデルの構成を作ることになる。自分の以前の会社はまさにこれで、ある一つの部品(例えばOリング)を組み立てる工程を後工程に移したので設計変更してくれ、というような依頼書にいつも泣かされていた。

 

矢印: 左: 前    矢印: 右: 次          四角形: 角を丸くする: TOP